江戸期の庶民制度                                    江戸と座敷鷹TOP   江戸大名公卿TOP

 

61、人勾引御仕置之事
(従前々之例)
○人を勾引(かどわかし)候もの→死罪
(寛保2年極)
○勾引候ものと馴れ合い売り遣わし分け前取り候もの→重キ追放


62、謀書謀判いたし候もの御仕置之事
(寛保2年極)
○謀書又は謀判いたし候もの→引き廻しの上獄門
 但し加判人は死罪
○謀書と存じながら頼まれて認め遣わし候もの→重キ追放

※註
謀書・謀判=文書偽造・印章偽造のこと


63、火札張札捨文いたし候もの御仕置之事
(寛保2年極)
○遺恨をもって火を付けべき旨の張り札し又は捨て文致し候もの→死罪
○遺恨をもって人の悪事等偽りの儀を認め(記して)張り札又は捨て文いたし候もの→死罪に及ぶべくほどの儀を認め候においては中追放

※註
張り札=ここでは放火するぞという脅迫文を貼り付けること
捨て文=ここでは人を中傷する内容の文書を投げ込むこと


64、巧事かたり事重キねたり事いたし候もの御仕置之事
(享保8年、延享2年極)
○かたり事の品公儀へ対し候事か又はかねて巧み候事か、或いは人を誘引申し合わせ候もの→騙し取った物一両以上は死罪
(延享2年極)
 但し当座のかたりは、手元にこれ有る品を盗み取りしもの、御仕置同断
(享保20年極)
○巧みなる儀申しかけ度々金子等かたり候もの→金高雑物の多少によらず獄門
(寛保3年極)
 但し物を取り得ず候とも前々度々物をかたり取り或いは巧みの品重きは死罪
(享保17年極)
○巧みをもって人を打擲いたし、同類の内より取り扱い物ねだり取り候もの→人に疵付け候はば獄門、物取り得ず候とも疵付け候はば死罪
(寛保3年極)
 但し同類は中追放
(享保3年、延享2年極)
○総じて催促されたり或いは預け物等届け来たり候人を疵付けまたは打擲いたし候もの→中追放
 但し刃物にて疵付け候はば死罪
(寛保2年極)
○重キ御役人の家来と偽り、かたり致し候もの→死罪
(延享元年極)
○願い請けざる儀を叶い候ように申しなし会所を建てかけ札等を出し候もの→家財取り上げ所払
 但し当人の居住町居住村において会所を建て、かけ札(願懸け札)致すにおいては名主過料五貫文、家主五人組過料三貫文、尤も他所にて会所建て札等出し候はば、当人居住地の名主五人組其の事を存ぜざるにおいては構いなし
(従前々之例)
○家主並びに五人組を拵え(偽ってつくる)訴訟に出候もの→敲
(寛保2年極)
 但し偽家主五人組になり候もの、同罪
○売り人買い人を拵え偽物商い候もの→入墨の上中追放

※註
巧事=悪巧み事、転じて人を詐欺にかけること
かたり事=騙(だま)すこと
打擲=ちょうちゃく、殴(なぐ)ること
会所=集会所


65、申掛いたし候者御仕置之事
(従前々之例)(延享元年極)
○主人・親に重き悪事これ有る由とて、偽りを申しかけ訴人に出候もの→磔
(延享元年極)
○主人・親の悪事訴え出候時の捌き方は、公儀へかかり候重き品は詮議を遂げるべし、若し訴人申すところ偽りこれなきに於いては、本人の御仕置は相当より一等軽く相伺うべし、、訴人は本人よりなおまた軽く御仕置相伺いべく事
 但し主人・親に非道の品これ有りて難儀の由、これを申し宥免の事願い出候はば名主五人組並びに親類の者呼び出し、宜しく取りはからい候ように申し付けべく事
(従前々之例)
○御褒美取るべく巧みにて偽りの訴人いたし候もの→敲の上中追放
(寛保元年極)
○人を殺し候旨申しかけ致し候もの→一通りの申しかけに候はば重追放
 但し深き巧み事これ有るは遠島、なお品重きは死罪

※註
申しかけ=ここでは虚偽の事実を言い立て人を罪に陥れようとする言いがかり、難癖をかけること
宥免(ゆうめん)の事=大目に見ること


66、毒薬并似せ薬種売御仕置之事
(寛保2年極)
○毒薬売り候もの→引き廻しの上獄門
(従前々之例)
○偽薬種(やくしゅ)売り候もの→引き廻しの上死罪


67、似せ金銀拵候もの御仕置之事
(従前々之例)
○贋金銀拵え候もの→引き廻しの上磔


68、似せ秤似せ枡似せ朱墨拵候もの御仕置之事
(寛保2年極)
○偽秤拵え候もの→引き廻しの上獄門
 但し掛け目違いこれなきにおいては、中追放
○偽枡拵うもの→獄門
 但し入り目違いこれなきにおいては、中追放
○偽朱墨拵え候もの→家財取り上げ所払

※註
刑の重さは、度量衡を混乱させる者は幕府の基盤を揺るがす者と捉えていた証し


69、出火に付而之咎事
○平日出火の節、小間十間より以上焼失に候はば
(享保6年極)
火元→類焼の多少により三十日・二十日・十日の押込
(寛保3年極)
 但し小間十間以下焼失に候はば咎に及ばず、尤も寺社より出火にて類焼これ有り候はば其の寺社七日遠慮
○御成り日の朝より御還りまでの間、並びに小菅御殿御成り御還りの日、並びに御逗留中にて、小間十間以上焼失かつ平日三町より以上焼失の節は
(享保4年極)
火元→五十日手鎖
(寛保3年極)
 但し寺社より出火に候はば其の寺社十日の遠慮
(寛保2年極)火元の
地主→三十日押込
家主→三十日押込
月行事→三十日押込
五人組→三十日押込
風上二町、風脇左右二町ずつ
六町の月行事→三十日押込
 但し風上風脇のものども不服の様子有り次第相応の咎申し付けべく候、格別に服する情出で候はば誉め申すべき事
(寛保3年極)
○御成り御還りの節かつ小菅御殿御逗留中にて類焼これ有り候とも小間十間より以下の焼失に候はば咎に及ばず
(寛保2年極)
○寺社門前より出火の節、平日小間十間以上焼失に候はば其の寺社は咎に及ばず
 御成り日の朝より御還りまでの間かつ小菅御殿御成り御還りの日並びに御逗留中にて小間十間以上焼失、平日三町より以上の焼失に候は其の寺社は十日遠慮、門前の者どもの咎は町方同断

※註
御成り御還り=将軍のお出掛けお帰りのこと
小菅御殿=現在の東京都葛飾区にあった鷹狩の際に休息・寝泊りする屋敷
月行事=がちぎょうじ、江戸の町では地主の代理人である家主が中心となって五人組を結成し、五人組の組員の中から毎月交代で町用・公用を務める者を出した、これを月行事と呼び、町内の自身番屋に詰めて務めを執り行った
小間=奥行きに関係なく表通り面する間口五間を一小間とした
寺社門前=門前の土地は寺社奉行支配だが、門前に住む町人は町奉行支配だった


70、火付御仕置之事
(従前々之例)
○火を付け候もの→火罪
 但し燃え立ち申さず候はば引き廻しの上死罪
(寛保2年極)
○人に頼まれ火を付け候もの→死罪
(従前々之例)
 但し頼み候もの火罪
(享保8年極)
○物取りにて火付け候もの引き廻しの儀
 日本橋
 両国橋
 四谷御門外
 赤坂御門外
 昌平橋外
右の分引き廻し通り候節、人数多少によらず科を書いた捨て札を建て置き申すべく候、尤も火を付け候所・当人居住する町中を引き廻しの上火罪申し付けべく事
 但し捨て札は三十日建て置き申すべく候
(享保5年極)
○物取りにこれなき火付けは捨て札に及ばず、火を付け候所・当人居住の町中を引き廻しの上火罪申し付けべく事
(享保8年極)
 右火罪御仕置、すべて晒しに及ばざる事
(享保7年極)
○火付けを召し捕らえまたは訴人に出候もの→御褒美人数の多少によらず銀三十枚
(追加)(延享2年極)
○火を付け候もの年を越し顕われる(露顕する)においては→死罪


71、人殺并疵付御仕置之事
(従前々之例)
○主殺し→二日晒し一日引き廻し鋸挽きの上磔
○主人に手負いさせ候もの→晒しの上磔
(寛保元年極)
○同切りかかり打ちかかり候もの→死罪
○古主を殺し候もの→晒しの上磔
○同手負いさせ候もの引き廻しの上磔
○同切りかかり打ちかかり候もの→死罪
(寛保2年)
○地主を殺し候家守→引き廻しの上獄門
○同殺すべく所存にて手疵負わせ候家守→死罪
○元地主を殺し候家守→引き廻しの上死罪
○同殺すべく所存にて手疵負わせ候家守→遠島
(寛保元年)
○主人の親類を殺し候もの→引き廻しの上獄門
(従前々之例)
○同手負いさせ候もの→引き廻しの上死罪
(寛保元年極)
○同切りかかり打ちかかり候もの→かねて企む事に候はば死罪
 但し当座の儀に候はば遠島、品により重キ追放
(従前々之例)
○親殺し→引き廻しの上磔
○同手負いさせ候もの並びに打擲いたし候もの→磔
(寛保元年極)
○同切りかかり打ちかかり候もの→死罪
(延享元年極)
○舅伯父伯母兄姉を殺し候もの→引き廻しの上獄門
(従前々之例)
○同手負いさせ候もの→死罪
(寛保2年極)
○非分もこれなきに実子養子を殺し候親→短慮にて出来心で殺し候はば遠島
 但し親方の者利得をもって殺し候はば死罪
○弟妹甥姪を殺し候もの→右同断遠島
 但し右同断
(従前々之例)
○師匠を殺し候もの→磔
○同手負いさせ候もの→死罪
(寛保2年極)
○支配を請け候名主を殺し候もの→引き廻し上獄門
 但し殺すべく所存にて手疵負わせ候もの死罪
○毒買い致し人を殺し候もの→獄門
但し毒買い致し候えども死なざるにおいては遠島
(従前々之例)
○人を殺し候もの→下手人
(寛保2年極)
○人殺しの手引き致し候もの→遠島
 但し殺し候当人欠落いたし出でざるにおいては下手人
(元文5年極)
○差し図いたし人を殺させ候もの→下手人
○差し図を請け人を殺し候もの→遠島
(寛保2年極)
○自分の悪事顕われべくを厭(いと)い、其の人を殺害致すべきと疵付け、或いは詮議したる人に遺恨を含む手疵を負わせ候もの→死罪
(追加)(延享元年極)
 但し切り殺し候はば獄門
(従前々之例)
○大勢にて人を打ち殺し候時、最初に打ちかかり候もの→下手人
○人殺しの手伝いを致し候もの→遠島
(追加)(寛保2年極)
 但しかねて人を殺すべきと申し合わせ候儀もこれなく、同輩の者の闘争を見捨て難く助力いたし候もの、中追放
○人殺しの手伝いは致さず候えども加担いたし候もの→中追放
○相手より不法の儀を仕掛けられ、是非なく刃傷に及び人を殺し候もの→遠島
(寛保元年極)
○辻切り致し候もの→引き廻しの上死罪
(享保元年極)
○人を乗せる渡船が沈み溺死これ有れば其の船の水主→遠島
(享保13年極)
○車を引く者で、人を引き殺し候時、殺し候方の側を引き候もの→死罪
(享保13年、寛保3年極)
 但し人に当てざる方側を引き候ものは遠島、車の荷主は重キ過料、車引きの家主は過料
(享保7年極)
同怪我いたさせ候もの→遠島
(寛保元年極)
 但し人に当たらざる方側を引き候ものは中追放、車の荷主は重キ過料、車引きの家主は過料
(寛保元年極)
○牛馬を牽きかけ人を殺し候もの→死罪
○同怪我いたさせ候もの→中追放
○口論の上人を疵付け片輪に致し候もの→中追放
 但し渡世もなり難きほどの片輪に致し候はば、遠島
(追加)(延享3年極)
○人を疵付け候もの、治療代を疵の多少によらず、町人百姓は→銀一枚
(従前々之例)
○離別した妻を疵付け候もの→入墨の上、遠国非人手下
(追加)(寛保3年極)
○同宿体の僧が人を殺し、或いは疵付け候科(とが)は、俗人に替わりこれなし(町人百姓と同様の仕置)
 但し寺持ち(住持)は一等重く相伺うべし
(従前々之例)
○足軽体に候とも、軽き町人百姓の身として法外の雑言等不届の仕形を注意して止める事ができず、(足軽体が不届な町人百姓を)切り殺し候もの→吟味の上紛れなきにおいては構いなし
(追加)(寛保4年極)
○倅(せがれ)が人に殺され候に処置を人に任せ、内証に事を済まし候親→所払
(追加)(従前々之例)
○邪曲をもって、親類縁者が人を殺し候儀を内証にて処置し事済まし候もの→過料
 但し殺され候方の親類も同断
(追加)(同)
○同人殺しを処置する者これあり、内証にて事を済ませ、殺し候者を立ち退かせ候儀まで存じながら訴えざるにおいては→名主は中追放、組頭は所払
(寛保4年極)
○家が焼失の際、親が焼け死に候を捨て置き逃げ出し候もの→死罪
 但し兄姉伯父伯母を焼き殺し候においては、中追放
(追加)(同)
○親が殺され候て死骸を見届け候えども、物入り等を厭い村役人等と相談の上、訴え出ず押し隠し候儀顕われるにおいては→当人は遠島、名主は軽追放、組頭は所払
(寛保3年極)
○当座の口論の上、人殺しに加担致し候もの→重過料

※註
古主=かって奉公していた主人
邪曲=よこしまな心
当座の口論=その場で頭に血がのぼってかっとなり喧嘩(けんか)すること
同宿体の僧=「同宿の僧」だとその寺の所化、つまり弟子の僧、「体」(てい)が入るとその寺の弟子ではなく寄宿中の修行僧


72、相手理不尽之仕形にて下手人に不成御仕置之事
(享保20年極追加)
○相手理不尽の仕形にて止める事を得ず切り殺し候においては→相手方の親類名主等が、殺され候者は平日不法者だったと申し、 この殺した者の下手人御免を申し出ること紛れなき候はば、中追放
 但し武士方の奉公人は、切り殺され候者の其の主人より願いこれなく候はば、縦令(かりに)親類等の願い出候とも、差し免(ゆる)し申しまじく候


73、疵被付候者外之病にて相果疵付候もの之事
(元文3年極)
○手疵負い候者、元より死に及び候疵にてこれなきところ、平癒の内において余病を差し起こし死に候はば、吟味を遂げて余病にて死に候に紛れこれなきにおいては相手は下手人に及ばざる事


74、怪我にて相果て候もの相手御仕置之事
(寛保元年極)
○弓鉄砲を放ち、過ちにて人を殺し候もの→吟味の上過ちに紛れなきか、並びに怪我人の親類の存念を相尋ね候上で遠島
 但し相果て候ものが存命の内に、相手御仕置御免の願い申し置き候においては、一等軽く申し付けべく候
(同)(延享2年極)
○定まりたる矢場鉄砲場にて、外より不慮に人が参りかかり、若し矢玉に当たり縦令(かりに)其の人が死に候とも咎に及ばず、三十日の遠慮申し付けべく事
(同)
○怪我にて、出来心で思わず疵付けた其の疵にて相手が死に候もの→吟味の上過ち紛れなきか、並びに怪我人の親類の存念を相尋ね候上で、中追放
 但し吟味の上不念(不注意)の儀これ有るに於いては、一等重く申し付けべく事


75、婚礼之節石を打候者御仕置之事
(延享元年極)
○婚礼の砌(みぎり)、石を打ち狼藉いたし候もの→頭取は百日手鎖、同類は五十日手鎖


76、あばれもの御仕置之事
(元文5年極)
○御城内(江戸城郭内)にて口論の上、十人以上が敲き合いつかみ合い候もの→双方当人は重追放、同加担いたし候もの敲の上、江戸払
(従前々之例)
○あばれ候て町所を騒がし候もの→敲の上所払
(寛保2年極)
 但し所々にて、あばれ候においては敲の上中追放
(追加)(寛保3年極)
○遺恨等をもって十人以上徒党を結び狼藉の上人を殺し候においては→頭取は獄門
 但し人を疵付けるにおいては頭取死罪、人殺し疵付けに加担した者は中追放
(追加)(同)
○同狼藉いたし諸道具等を損壊させ候においては→頭取は重追放
 但し加担人は所払


77、酒狂人御仕置之事
(享保16年極)
○酔狂にて人を殺し候もの→下手人
 但し殺され候ものの主人並びに親類等が下手人御免を願い申し出候とも取り上げまじき事
(享保7年極)
○酒狂にて人に手負いさせ候もの→疵付けられ候もの平癒次第治療代を出すよう申すべく事
(享保2年極)
 但し疵付け候もので奉公人は主人へ預け、其の外は牢舎、手疵軽く候はば預け申すべく候
(同)(療治代)
○疵の多少によらず→中小姓体に候はば銀二枚、徒士は金一両、足軽中間は銀一枚、武家の家来は江戸払
(従前々之例)
 但し町人百姓は銀一枚、軽キ町人百姓は右に准じ治療代相渡させ申すべく事
(享保7年極)
○治療代出し難き者→刀脇差を相渡させ申すべき事
(同)(延享2年極)
○酒狂にて人を打擲いたし候もの→治療代差し出し難きものは諸道具取り上げ、打擲に逢い候ものへ取らせるべし、諸道具もこれなく償いならざる身上の者は所払
○酒狂にて相手これなくあばれ、自分を疵付け候もの→主人其の外へ相渡すべく方へ引き渡すべし
 但し公儀御仕置になるべく筋のものは格別、左様これなきものは→御構いこれなき旨申し聞かせ引き渡し申すべき事
(元文5年極)
○同あばれ候までにて疵付け候儀や、並びに諸道具等を損壊させ候事もこれなきもの→立ち帰りたき由申し候はば留め置き申すまじく候
 但し奉行所へ訴え出候以後にても右の通り致させべく事


78、乱気にて人殺之事
(享保6年極)(元文3年極)
○乱心にて人を殺し候とも下手人になすべき候、しかれども乱心の証拠が確かにこれ有る上、殺され候ものの主人並びに親類等が下手人御免の願い申すにおいては、詮議を遂げ相伺いべく事
(享保6年極)
 但し主殺し親殺しといえども乱気紛れなきにおいては死罪、自滅いたし候はば死骸は取り捨て申すべく事
(享保19年極)
○乱心にて其の人より至って軽きものを殺害いたし候はば、下手人に及ばざる事
(寛保2年極)
 但し慮外者を切り殺し候時、切り捨てになり候ほどの高下(身分差)と心得べく事
○乱心にて火を付け候もの、乱気の証拠が不分明においては死罪、乱心に紛れなきにおいては押し込め置き候よう親類どもへ申し付けべく事


79、十五歳以下之者御仕置之事
(寛保元年極)
○子供心にて弁えなく人を殺し候もの→十五歳まで親類預け置き、遠島
○子供心にも弁えなく火を付け候もの→右同断、遠島
○盗み致し候もの→大人の御仕置より一等軽く申し付けべし
(寛保2年極)
○十五歳以下の無宿者は途中其の外にて小盗み致し候においては→非人手下


80、科人為立退并住所を隠候者之事
○火付
○盗賊の上にて人を殺し候もの
○徒党いたし人家へ押し込み候もの
○追剥の類
(元文5年極)
右の類科人(とがにん)同類にはこれなく候とも、其の者に頼まれ、住所を隠し或いは立ち退かせ(逃走させ)候ものは死罪
(元文5年)
○当座の儀にて喧嘩口論をし、人を殺し候もの
右科人の同類にはこれなく義理をもって頼まれ、住所を隠し或いは立ち退かせ候分は急度叱り申すべく事