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生態3                                                                                                                          ハエトリ TOP  |  江戸と座敷鷹TOP  |  江戸大名公卿TOP

 
■生態3で記した04/06.03午前12時前に最終脱皮した♂の後日談。
上の写真はガラスビン(インスタントコーヒーのビン)に張り付いている脱皮
1日後の♂。当初この♂を持ち帰ったのは、欠けた脚の再生にわたしが興
味を持ったからであった。結果は申し訳程度の再生であった。

しかし、写真左側の第一歩脚は基節のみ残っていたが、他の基節と比べ
ると長くなったことが判る。また、この短さでも独自の方向を向いていること
からクモ自身は動作させているのが理解できもし、それなりの成果があっ
たと思っている。

ところが、触肢(ヒゲ)先端のボンボン状の移精器官を見ると欲が出て来
た。最終脱皮で成体♂となった彼に、わたしはどうしても子孫を残させてや
りたいという不遜僭越な思い付きに囚われてしまったのであった。

そして、なんとその日の午後、井の頭公園で成体らしき体長6_ほどの♀
を奪取して来てしまった。
 
 
上の写真はわたしに奪取された♀。
この日は♀を迎えるのでガラスビンをきれいにした。そのため写真上2枚と
も上顎・下顎がよく判る。が、肝心の外雌器が湾曲部にあるためイマイチ。
外雌器は、腹部に3本の線模様が見え、これが尻末端へ集まっていくが、
その中央の線が始まる先に横長の方形がある、これが♀成体の証明。
 
 
上の写真は、ビンから出して白い紙を敷き♂♀を放したもの。♂が追い♀
が逃げる、これを繰り返していた。逸っているのは、わたしと♂のみ。
 
 

■ビンに入れても間歇的に追い駆けっこを繰り返すのみ。餌を放り込むと喰
らい付くのは♀だけで、♂は餌に興味を示さず、餌を喰っている♀を追い回
していた。

06.03の午後に♀を同居させ、♂は06.08の早朝まで♀を追い駆けていた。
4日余りを経ても状況が変わらない。両第一歩脚を欠くのが原因と思った。
なんとか子孫を残させてやりたい不遜の一念も、ここに至って崩れた。

残念だったが、♂を解放した。そして06.08の早朝、新たな♂成体6_余り
を井の頭公園から奪取して来たのだった。
 

 
 

■上の写真2枚ともクリック拡大
新♂を同居させたのは、♀にコバエを与え喰い終わった6月8日午前10時
30分
過ぎ。♂は♀には見向きせず、逃れるスキ間はないかと激しくビンの
中を歩き回っていた。やはり脚が8本あると迫力が違った。この種の♂は特
に第一歩脚が長いから一層そう感じられる。

昼の12時を15分ほど回った頃、ひょいと見ると♂と♀は別の方向を見てい
た。いや、正確に言うと別の方向に頭胸部は向いていた。何もまだ起こって
ないな、と一瞥してわたしがビンから視線を逸らそうとした時、♂が両第一
歩脚を掲げぎみにして妙な走り方で駆け上がってきた。

ビンはビンの蓋のほうを底にして置いてあった。理由は蓋を上にして置くと、
蓋の裏が見えなくなるからである。この時♀は上に張り付いていた。♂が
駆け上がって来たのは♀を目指していたわけで、その走り方はこうだった。

基本形はアルファベットの「Z」字のジグザグなのだが、♀がいる場所を円
の中心点とすると、同心円を描くように徐々にジグザグに駆け上がってきた
のである。もちろんビンの中だから円を描く動きはできないが、半円の2分
の1くらいを描く感じでジグザグに駆け上がってきたのである。

その時♀は全脚を伸ばして♂を受け入れたのかどうかは、見ていなかった
ので判らない。ともかく駆け上がってくる♂の姿と、次の瞬間には♀を抱え
込んでいる♂の姿が目の前にあったのだ。その♂♀の姿は、わたしに柔道
の寝技を想像させ、ただただ関心して見入るだけだった。

開始時間は12時18分過ぎくらいか。特筆する点は♂が始終2、3秒ごとに
体を上下に揺り動かしたこと。そのためピント合わせはお手上げ状態だっ
た。

 
12時34分、ぱッと♂♀が分かれた。この1、2分前に♂と目が合った。♂
はその瞬間、体を反らせた。わたしが出歯亀よろしくジロジロ覗き込んでい
たのは事実だ。が、それが直接の原因とも思えない。おそらく、もう一つの
触肢に替えようと体勢を立て直そうとした時、わたしと目が合い微妙な変化
が♀に伝わり、♀がそれを嫌い起き上がったのであろう。

そんなにチャイロアサヒ♂は敏感なのか?と、ほとんどの人が怪しまれるだ
ろうが、このハエトリは他のハエトリと違う、とわたしは感じたことがある。ハ
エトリを撮ろうとするとハエトリの多くはレンズを見る。そして跳び込んでくる
場合もある。チャイロアサヒもレンズを見る、続いてカメラを構えている人間
の目を見るのだ。これにはギョッとした。

写真は2匹とも第一歩脚を掲げている。この状態が30秒ほど続いた。
 
 
 
上2枚のうち上の写真は、すぐ後に撮ったもの、下は6時間後に撮ったも
の。表面上はなんら変化は見出せない。
 
 
6時間後の♂。事後10分くらいは♀に興味なさそうにしていたが、その後
追い回し始めた。やはり片側の触肢を挿入しそこなったのが原因か。しかし
♀に体よく躱され上手くいかない。その際♂は第一歩脚は掲げず、ジグザ
グも短縮している。写真は解放前に撮ったもの。

いずれにしてもビンの中の出来事。自然の中であれば♂も成就したであろ
う。だが、このように人工的に観察しないと体長10_以下のハエトリグモの
世界は、明らかにならないことが多いと思われる。
15分間の片側触肢だけの交尾が産卵に結び付くのかどうか、さっぱりだが
産卵する場合は2、3週間後であろうか。
 


 
 
■井の頭公園から奪取してきた個体ではないが、ビンの中に入れた♀と
ほぼ同サイズのチャイロアサヒハエトリ♀約6ミリの側面と背模様。


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