■初卯詣(はつうもうで) 初卯は正月第一の卯の日のことである。初子(はつね)の大黒天詣(だいこくてんもうで)や初寅(はつとら)の毘沙門天詣(びしゃもんてんもうで)であれ、これらは正月十五日以前にある。初卯詣は本所亀戸天神宮へ詣で木で古風に作った鷽(うそ、小鳥のこと)または御守札を拝戴(はいたい)し御門前にて売る柳の枝に繭玉(まゆだま)など縁起の品を付けたものを買って帰る。 参詣の人々は華美の衣類を恥じ目立たないが高価な衣類を着て、帰途の食事も高価なものを選ぶなど初卯詣ならではの光景である。
■厄払 厄払は十一月冬至の夜、節分の夜、大年越の夜、燈が点(とも)る頃を盛りとする。冬至と大年越は貰った餅を袋に担(にな)い、節分は鬼を打つ豆を貰い袋に入れる。もちろん銭も貰い、「御厄払(おんやくはらい)ましョ厄落し御厄払ましョ厄落し」と呼び来たるを呼び止めて、餅、豆、銭を遣(つか)わすのである。
■暦売 往来の人出の多い場所で立ち売りする。一年中のご重宝大小柱(ちょうほうだいしょうはしら)ごよみ、綴(とじ)ごよみを売る商人は老人に多い。期間は昨年十二月下旬から正月末まで。 |