■江戸年中行事&風俗                                                   江戸と座敷鷹TOP  江戸大名公卿TOP

十五夜八幡宮祭
 
夕方に盆提灯を点し終わると、この頃は日脚も短くなり、朝夕に冷気を感じるようになる。八月十五日は望月で、江戸の武家・寺社の区別なく工商ともすべて団子を作り、柿・栗・芋・枝豆・葡萄を添えて三方盆にうずたかく盛り上げ、尾花など秋草を花入れに挿(さ)して、観月に備えた座敷の縁先か屋上の物干し台へ飾る。文人墨士は観月する莚を敷いて吟詠を楽しむのである。
 作十四日から八幡宮の祭礼である。深川富ヶ岡八幡宮は殊に賑わい山車や屋台、練物などの催しがある。他に江戸近在に至るまで八幡宮の社がある所は、神楽囃や手踊りなど催しがある。当日は神輿の渡御(とぎょ、神輿のお出掛けの意)があり、芝・田町・西久保の八幡宮は産子(うぶこ、生まれた土地の守り神=産土神[うぶすながみ]を奉ずる人、氏子の意)が住む町中に甘酒を作って来客をもてなすのである。