■竹売 篠竹(しのたけ)を切って売り歩く。これは魂棚の四方に立て菰縄(まこもなわ)を四方へ引き渡す。その縄へ白茄子赤茄子を吊り、竹の元へは草を結び付ける。「たアけやたアけやたアけや」と呼びながら売り歩く。
■武家方の燈籠納め 幕府御譜代の御老中、若年寄を勤める家からは、奉書張りの見事な切子燈籠を上野東叡山、芝増上寺の両御廟宝前へ献ずる。諸侯方は各々の菩提所霊前へ提灯か切子燈籠を奉ずる。これまた見事な出来にして数も多い。燈籠を奉ずるにあたり、中間が燈籠を竹に吊って舁(か)き、麻裃を着た武士が付き添って行く。上野や増上寺へ納める燈籠は、大箱に入れ中間が四人ずつ両側で舁いて行く。その式は大変厳重である。
■高燈籠 これは寺院すべてではないが、十の内三、四は行うことである。長い丸太を杭にして立て、杭の天辺に杉の青葉を束ね旗を垂らして燈籠を吊る。盆中毎夜これを点す。かなり陰気なことである。
■娘の奉子(ほうこう)せる主人へ中元の祝ひをのぶ 盆の中元の儀式は正月と同じである。奉公勤めに屋敷方へ出した親元は、必ずその主人の屋敷へ参上して祝賀を述べる。参上するのは母親に限る。諸屋敷の奥殿は男子禁制だからである。母親はこの参上を何よりの楽しみとしている。
※切子燈籠=四角な枠の角を切り落とした形に組み、四方に造花を付け紙を細く切って飾り垂らした燈籠。 |