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■江戸年中行事&風俗                                                   江戸と座敷鷹TOP  江戸大名公卿TOP

諸侯の参府交代
 諸大名衆の参勤交代は年期が定まっている。武鑑にその年限が記されている。参府の節の供揃いは家格制限いっぱいまで華やいだ装いの行列となる。
 道中は道中師という者が引き受けて伝馬宿継ぎの障害を取除く。大諸侯においては十余町の人数で前後の荷物を加えると、その行列は東海道五十三駅にわたるというのは、あながち虚言ともいえない。

諸侯帰国

 諸大名方在府年限が満る時は、公儀より御暇(おいとま)を賜り御国元へ御帰城される。帰国は多くが春季中の御道中となる。御出立(おいでたち)御供廻りの行列の衣裳は美々である。御宿駅路は御出入の道中請負業の親分がいるので障害を生じず、人足駄馬の遣り繰り万端に差し障りがない。
 また好い季節の宿駅路であるから、街道に辛い起伏があっても興趣が湧くところも多い。この当時の旅日記を見れば、きわめて太平な様子が知られる。

伊勢参宮(さんぐう)の犬
珍しきことあり、それは犬の伊勢参宮である。例年ではないが年によって一、二疋が自然と伊勢詣を思い立つ。江戸名物は犬の糞という戯言のとおり一丁ごとに犬は少なくとも五、六疋はいる。武家方や寺院などには屈強な飼い犬が多く、この犬のなかに諸侯方が御帰城のため東海道を上る御供に付きまとうのがいる。初めは付きまとわぬよう追っ払い打ち払ったりするが、犬は懲りずに付きまとう。
 御供のなかには、これは伊勢参宮の犬ではないかと思い、かねてから聞いている例を行ってみる。まず竹筒を作って犬の首に結い付け、竹筒のなかに若干の銭を入れておく。
 この日から犬は御供に付きまとわず、駅路をたどって日暮れには人家の前にいたる。人家では参宮の犬と承知して家内に入れて食事を与える。竹筒より若干の食事代を取り出し、また心ばかりを返し遣わす。犬は翌朝飯を喰い走り行く。
 こうした日を繰り返して、犬は伊勢参宮を果たすのである。伊勢宮司は社廟の御札を与え、竹筒に納め遣わすや犬はまた駅路を行き自分のいた町内へ帰る。今日までどうしていたかと心配していた犬好きも竹筒を見て、さては犬の八は参宮して帰ってきたかと、町内こぞって「八ヨ八ヨ」と愛するなぞ、根もない作り話と思うのも道理であるが、江戸の頃例(ためし)のあることなのである。