■江戸年中行事&風俗                                                   江戸と座敷鷹TOP  江戸大名公卿TOP

魚売(うおうり)
 御得意へ日々売り歩く魚屋は栄螺(さざえ)、蛤(はまぐり)、やわかさぎなどの小魚を串に刺して焼く。これらは上巳(雛の節句)当日の必要な品だから大繁昌である。「サザイやサザイ蛤や蛤」の売り声が江戸市中あちこちで聞こえてくる。

上巳佳辰(じょうしかしん、かしんはめでたい日の意)の贈答
 
上の歴々方は知らないが中以下の親類縁者諸芸の師を始め工商は、御得意方へ贈る品は白酒、蛤(はまぐり)栄螺(さざえ)、胡葱(あさつき)などの料理を重箱に詰めて贈る。
 町家は一般に向こう三軒両隣と長屋の内に煎り豆を遣り、家主や地主から物を学ぶ者は彼らに贈る。武家勤めの女中方と工商の使用人は、進物を携えて頻(しき)りに往来を行く。

上巳節句の礼者
 上巳雛祭の賑わい祝宴の案内も多い。殊に初雛の祝宴は山海の佳珍の饗応となる。当日は士工商に僧侶神官医師を始め、物を学ぶ者は師匠の元で佳辰(かしん、めでたい日)の祝礼があるので目録の包み物を持って行く。武家は主人へ工は親方へ商は主人へ坊主は師の僧へ、借地借家の住人は地主家主へ祝礼の儀がある。